皆様、こんにちは。
弁護士の八木田でございます。
金木犀の香りがする季節になりました。文化の秋、食欲の秋、これから年末に向けてハロウィンやクリスマスなどイベントが盛りだくさんとなりますので、この時期を好きという方も少なくないと思います。
さて今回は、公職選挙法の改正により、18歳以上の方に選挙権が認められるようになった件について触れてみたいと思います。
平成27年6月17日に改正公職選挙法が成立していたことは記憶に新しいことと思います。これにより新たに有権者となる方は、約240万人にのぼるようです。
振り返ると、大日本帝国憲法(明治憲法)が制定された明治22年(1889年)当時は、制限選挙制となっており、選挙権は25歳以上の男子で、かつ、直接国税15円以上を納めている人に限られていました。このため、有権者は、当時の人口の約1%に過ぎませんでした。
その後、大正15年(1914年)に、25歳以上の男子に選挙権が認められて男子普通選挙が実現し、昭和20年(1945年)、日本国憲法の制定に際して、20歳以上の男女に選挙権を認める男女平等の普通選挙が実現しました。
人口構造の変化に伴って、若年層の意見が政治に反映されにくくなっている傾向があると指摘されていますので、この点からは望ましいとみることができそうです。一方で、まだまだ成長過程で外部からの影響に左右されやすい時期であるとの指摘もあることから、今回の改正が有効に機能していくためには、自らの意思を形成することについてのサポートないし教育等が不可欠と思われます。
今回の改正は、民法その他の法律における成年の年齢についても改正を促していることから、今後、その他の法律上も統一化が進むことが予想されます。
最近では、飲酒可能になる年齢についても統一化すべきとの意見もありますが、健康面の懸念や犯罪が増加するのではと心配する声も耳にします。
改正の話に戻りますと、法改正がメディアで取り上げられるのは、ほぼほぼ内容が固まって、委員会での議論が煮詰まったあたりでということも少なくありません。
我々一般の人が、タイムリーに改正に関する情報に触れることは難しいかもしれませんが、日頃から関心を持ち続けることは、少なくとも必要なのだと思います。
まずは、今回の公職選挙法改正が、若年層の方々が様々な物事への関心を持つきっかけの一つになることを願っております。