4月に入って急に暖かくなり、お花見シーズンが到来しました。
また、新年度となり、新しい社員が入社したり部署移動があったりと会社によっては変化の多い慌しい時期なのではないでしょうか。今回は人事異動をコラムの題材として取り上げてみたいと思います。
人事異動も昇進など嬉しいものと、降格や地方への部署移動などあまり歓迎しないものがあります。
では、嫌な人事異動を命じられた場合(「配転命令」などといいます)、拒否をすることはできるのでしょうか。
通常、労働契約書(労働条件通知書)や就業規則には「業務の都合により、出張、配置転換、転勤を命じることがある」などの規定が置かれています。
これを根拠に原則、会社は人事異動をすることができるということになります。
例外として人事異動を拒否できる事があります。具体的にはどういった場合でしょうか。主な場合として以下の4つが挙げられます。
(1)職種が限定されている場合
医師、看護師などの資格を有している場合は、労働契約書において職種の限定があることが多いです。アナウンサーの場合も他の職種への配置転換拒否が認められた裁判例があります。
(2)勤務場所が限定されている場合
現地採用で他の支社に転勤させないことが労働契約書に記載されている場合は、別の場所への異動を拒否することができます。
(3)権利濫用と認められる場合
不当な動機、たとえば退職させる意図でなされた人事異動は拒否することができます。
(4)賃金の引き下げを伴う場合
賃金を引き下げる場合、個別の合意が必要になります。
このように、人事異動について会社には大きな裁量が認められていますので、単に嫌だというだけでは拒否することができません。
例外的に拒否できる場合もありますので、人事異動に納得がいかない場合は労働契約書や就業規則を見直してみるのはいかがでしょうか。もちろん弊事務所へご相談いただければ、具体的にアドバイスをさせていただくことができます。
異動先には異動先の良さもありますので、どうしても異動しなければならない場合は前向きに捉えていつか異動元に戻れる日を楽しみに日々を暮らすということがよろしいかもしれませんね。