昨今、DeNAのまとめサイト問題などが話題になり、「無断転載」という言葉を頻繁に聞くようになりました。
無断転載とは、「著作権者の許諾なく勝手に別の場所に掲載してしまうこと」を意味します。たとえば、他人が撮影した写真を無断で自分のブログにアップし、あたかも自分が撮った写真であるかのように扱うことや、他人が作成した文書を無許可でまとめサイトに掲載することなどがこれにあたります。
なぜこの行為がいけないのか、いまいちピンと来てない方もいらっしゃるかもしれません。特にインターネットに公開されているデータを「コピペ」することは、作業としてはとても簡単です。しかし、たとえネット上で公開されているデータだとしても、無断転載は、著作権法で保護されている複製権・公衆送信権といった著作権、氏名表示権といった著作者人格権を侵害する行為にほかならず、違法行為であるといえます。
著作物を無断転載された被害者は、法律上、どのような対応をすることができるでしょうか。
上記の例でいうと、写真を撮影した人及び文書を作成した人は、その掲載をやめるよう侵害者に対して請求することができますし(差止請求)、また名誉や声望を回復するための措置を請求することもできます。さらに、場合によっては財産権侵害・精神的損害を理由とした損害賠償を請求できる可能性もあります(損害賠償請求)。
また、このような著作権侵害行為には、1000万円以下(法人の場合3億円以下)の罰金や10年以下の懲役などの重い刑罰も規定されていますので、悪質な場合には警察に動いてもらうということもあり得ます。
以上、簡潔にではありますが、写真やテキストが無断転載されていた場合に起こりうる民事責任・刑事責任を紹介してきました。
もっとも、写真や自分が書いた絵がそのままブログにアップされているといったわかりやすい場合はまだしも、テキストの転載においては、著作権法上認められた「引用」との相違など、十分な比較検討が必要であり、専門家の判断が必要になってくる場面も多々あります。また、個人で交渉や訴訟を行うよりも、専門家を挟んだ方がより多くの賠償金を請求できる場合もあります。
ですので、自分の写真やテキストが、他人のブログやまとめサイトなどに転載されていることを発見したときには、まずはお気軽にご相談ください。