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今回は、「ネット社会の著作権」についてお話ししたいと思います。
著作権法は、著作権侵害があった場合に差止請求や損害賠償請求ができると規定し、著作権者の保護を図っています。しかし、著作権侵害に当たるかどうかを判断することは容易ではありません。たとえば、複製は著作権法2条1項15号で「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」と定義されていますが、これに当たるか否かを自らで判断できる人は少ないのではないでしょうか。
それにもかかわらず、 TwitterやFacebookなどのSNSや各種ブログ上では、個人や企業が発信したコンテンツに対し、ユーザーによっていわゆる『パクリ疑惑』が指摘され、そうした疑惑が拡散される事案が多発しています。標的とされた個人や企業は、仮に法的・客観的には著作権侵害に当たらなくても、削除や修正、声明発表などの対応に追い込まれることになります。
SNSの爆発的な普及により、個人による情報発信のハードルが極めて下がり、「ポスト真実 (post-truth)」とも形容される時代においては、「著作権侵害のリスク」だけでなく、「インターネット上で『パクリ』と指摘されるリスク」をも踏まえて、事業を進めていく必要があるといえます。
また、コンテンツホルダーである企業にとっては、著作権侵害に対して防衛策を採るのが難しい時代にあります。著作物はインターネット上で容易に複製され、拡散されていくからです。
事後的に差止請求や損害賠償請求をするにしても、時間・費用・労力と多大なコストを要します。
企業にとっては、これを現実として受け止め、新たな戦略を立てていく時期にきているのかもしれません。少し前に「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマが流行りましたが、「恋ダンスを踊ってみた動画」を削除請求せず広告として利用する戦略は、その一例といえるでしょう(その後、レコード会社側は8月末日までの容認期間が満了したとして動画の削除請求を始めており、多くの議論を呼んでいます(日本経済新聞電子版2017年9月8日「恋ダンス、もう踊れない? アップ動画に削除要請」))。
弊事務所では、インターネットやウェブサービスに関する企業法務を多く取り扱っています。知的財産に関するご相談がありましたら、弁護士が全力でサポートさせていただきます。