政府は、車の運転中にスマートフォンや携帯電話などを使用する「ながら運転」の厳罰化を閣議決定しました。これに伴い、道路交通法施行令が改正され、2019年12月1日から施行されます。
警察庁の発表によりますと、スマートフォンや携帯電話を使用した「ながら運転」を原因とする交通事故件数は、2013年は2,038件でしたが、2018年には2,790件と5年間で約1.4倍に増加しています。
また、死亡事故率を比較しますと、使用の場合と使用していない場合とでは、死亡率が約2.1倍になっているとのことです。
車の運転では、あおり運転が頻繁にニュースに取り上げられることも多いですが、身近なスマホ操作によって、痛ましい死亡事故が多数発生しています。
2018年9月に新潟県内の関越自動車道で発生した事故では、スマートフォンで漫画を読みながら時速100キロで走行していた自動車に追突されて、バイクを運転していた女性が亡くなるという悲惨な死亡事故が発生しました。ドライブレコーダーによれば、追突の約16秒前から被害者のバイクの尾灯が映っており、前方を見てさえいえれば防げた事故でした。
今年の8月に新潟地裁長岡支部で言い渡された判決では「一瞬の不注意による事故とは一線を画する、特に危険で悪質な運転」とし、自動車運転処罰法違反による過失致死の罪で懲役3年の有罪判決を言い渡し、判決はその後確定しました。これは、同罪による交通事故の判決としては異例の重さです。
このような運転中のスマホ使用が原因による死亡事故が相次いだことから、遺族などからも罰則強化を求める声が上がっていました。
今回の改正により、スマートフォンや携帯電話等使用時の違反点数・反則金は約3倍と大幅に引き上げられ、交通の危険を生じさせた場合は、即免許停止となります。
改正前 | 改正後 | ||
運転中にスマホ等で通話したり、画面を注視する行為など(保持) | 違反点数 | 1点 | 3点 |
反則金 | 大型 7,000円 普通 6,000円 二輪 6,000円 原付 5,000円 | 大型 25,000円 普通 18,000円 二輪 15,000円 原付 12,000円 | |
罰則 | 5万円以下の罰金 | 6月以下の懲役または10万円以下の罰金 |
改正前 | 改正後 | ||
スマホ等の使用などにより交通の危険を生じさせた場合 | 違反点数 | 2点 | 6点(即免許停止) |
反則金 | 大型 12,000円 普通 9,000円 二輪 7,000円 原付 6,000円 | 反則金の対象外となり、すべて罰則の適用対象となる | |
罰則 | 3月以下の懲役または5万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
今回の厳罰化をきっかけとして、ドライバーの運転マナーと意識が向上し、交通事故が1件でも減少することを願ってやみません。