皆さまこんにちは。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
お正月も終わり、お忙しい日々をお過ごしかと思います。
この時期になりますと、挨拶回りの業者の車や、普段車で移動しない旅行者の車など、様々な車で道路も慌ただしく混雑してきます。すると、交通事故の発生件数も当然多くなってきます。ご自身の運転にまったく問題がないのに、突然事故に巻き込まれてしまうこともあります。交通事故は、過去のコラムで取り上げた相続問題(12月8日「認知症患者と遺言書」、11月17日「相続が争族にならないために」など)のように、避けては通れない法律問題といっても過言ではありません。
もしもの交通事故のための備えといえば自動車保険ですが、事故に巻き込まれてしまったときのこと、ご自身で考えられたことはありますか。
今回は、事故を起こしてしまった、事故に巻き込まれてしまった場合の交通事故解決までの流れをお話しさせていただきたいと思います。
1.交通事故発生時
交通事故が発生した場合、車の運転者や同乗者は、まず、負傷者を救護したり、道路で危険防止措置をとったりすることが必要です。
同時に、運転者には、警察に事故の報告をする義務もあります。ここで、後にトラブルが起きないように大切なのが、
・警察へ人身事故として届出を出す(物損事故では、慰謝料が請求できません)
・警察による実況見分を受ける
の2点です。安易に事故現場で示談したり、物損事故として届出を出したりすると、トラブルにつながります。
2.治療・通院
自覚症状の有無に関わらず必ず病院に行きましょう。
事故直後は、興奮していて痛みに気づかなかったり、脳内出血やむち打ちのようにすぐに自覚症状が出なかったりするものもあります。特に頭を打った可能性がある場合には、注意が必要です。
3.症状固定
症状固定以降の治療費は請求できなくなります。
症状固定とは、治療を続けても現状以上の回復が見込めない(効果が期待できない)状況のことで、(全快でなくても)症状が安定した状態を指します。それ以上の治療は意味がないと判断されるため、治療費が請求できるのは、原則として症状固定までとなります。
ただし、保険会社が症状固定になったと言っても、安易に応じてはいけません。加害者側の保険会社は、支払い金額を少しでも減らしたいために早めに「症状固定している」と認めさせようとしますが、まだ回復の余地があるのにも関わらず了承してはいけません。
4.後遺障害の認定
症状固定後の痛みは、後遺障害として損害賠償を請求できます。
症状固定は、症状が安定した状態なので当然、身体に痛みなどの症状が残ってしまうことがあります。これらの障害は、後遺障害の等級認定を受け損害賠償を請求することができます。
後遺障害として賠償請求できる損害には、「後遺症による逸失利益(以下、「逸失利益」といいます)」「後遺症慰謝料」の2種類があります。
逸失利益とは、事故がもしなかったならば得られるであろう利益(収入)のことで、当然収入が多い人ほど賠償額が大きくなります。
後遺症慰謝料は、肉体・精神的な苦痛に対する慰謝料です。
逸失利益・後遺症慰謝料の額を左右する重要な要素が、「後遺症障害等級認定」です。認定される等級によって、得られる賠償額が大きく異なります。
そして、この等級認定について、大きな判断材料となるのが後遺障害診断書です。
弊事務所では、弁護士が依頼者に同行し、検査画像の説明をはじめ、診断書への詳細な記述を医師に求める場合があります。
等級認定を受けるための方法には、2種類あります。「事前認定」と「被害者請求」です。
「事前認定」は、保険会社が手続きを行い認定を受ける方法です。保険会社がすべての手続きを行ってくれますので、手間などはほとんどかかりませんが、同様の後遺症であっても、被害者請求に比べて等級認定が低い場合が多いようです。
「被害者請求」は、手続きを被害者側で行わないといけませんので手間がかかりますが、納得のいく等級認定を受けられる可能性が高いので、なるべく被害者請求で等級認定の手続きを行うことをおすすめします。
弊事務所では、後遺障害の等級認定を申請する際、「被害者請求」を行い、煩雑な手続きを代行します。
5.示談交渉
後遺障害の等級認定が決まると、示談交渉が始まります。
事故の相手方の保険会社から損害賠償額が提示されても、安易に示談を結んではいけません。なぜなら、保険会社の利用する賠償基準額は、過去の判例にもとづいた基準(裁判基準)の金額よりも相当低いことが多いからです。
弊事務所では、事故の相手方の保険会社と粘り強く交渉することにより、裁判基準による金額に近づけた賠償額を実現することができます。
さらに、自動車保険をはじめとした損害保険には「弁護士費用特約」がついている場合があります。この特約を使えば、損害賠償請求に関する弁護士への相談費用や示談交渉・訴訟の費用は保険会社から支払われます(保険会社ごとに異なりますが、概ね法律相談料として10万円、弁護士費用として300万円を上限として)。
弊事務所では、初回のご相談を30分間無料で承っております。もしもの事故のときは、動き出しが肝心です。是非一度ご相談ください。
この法律コラムは
弁護士法人プロテクトスタンスがお届けしています。
総合リーガルグループとして、個人から法人のお客様まで、質の高く分かりやすい法律サービスを提供しています。ご相談者さまに徹底的に寄り添い、ベストな解決方法をご提案いたします。お気軽にご相談ください。
弁護士法人プロテクトスタンス 代表弁護士 五十部 紀英