私たちの生活に身近で便利なコンビニ。台風や豪雨豪雪の日でも24時間営業していて、商品の購入だけでなく各種公共料金の支払いやチケットの発行など、様々なサービスを展開しています。現代のコンビニはもはや、生活インフラの一部として機能しています。
そんなコンビニでたびたび問題となるのが、店内のゴミ箱への家庭ゴミの持ち込みです。
収集を待てない家庭ゴミなどをはじめ、昨今若者を中心に広まりつつある「路上飲み」のゴミなども持ち込まれることもあり、SNSなどでも話題を見かけることが多い問題です。
では、コンビニに家庭ゴミや路上飲みゴミを持ち込むことは法律違反なのでしょうか?
今回は、コンビニへの持ち込みゴミについて弁護士が解説します。
結論から言うと、家庭ゴミや路上飲みゴミなどの私的なゴミをコンビニのゴミ箱に捨てる行為は、犯罪が成立する可能性が高いです。具体的には、不法投棄(廃棄物処理法第16条)や営業妨害(刑法233条)などに該当する可能性が高いでしょう。
コンビニ店内のゴミ箱は、店内で購入した飲食物や包装紙などを捨てるため、顧客サービスの一環として設置されています。
また、「家庭ゴミの持ち込みはご遠慮ください」といった表記で、ゴミの持ち込みを禁止としている場合がほとんどでしょう。
たとえば、買い物をするついでに、自動販売機で購入して持っていた空のペットボトルや、ドライブ中車内にあったちょっとしたゴミを捨てる程度であればコンビニ側も大目に見てくれるかもしれません。
しかし、大量の家庭ゴミや、路上飲みで出たゴミといった私的なゴミを捨てるとなると、店舗側の意思に反したゴミ箱の使用とみられます。
したがって、家庭ゴミや路上飲みゴミを捨てる行為は「不法投棄」や「業務妨害」などに該当し、悪質な場合には逮捕されてしまう可能性もあります。
それでは、家庭ゴミや路上飲みゴミなどの私的ゴミの持ち込みは、どのような理由で「不法投棄」や「業務妨害」にあたり、どういったペナルティがあるのでしょうか。
2-1.不法投棄に該当する(廃棄物処理法に違反)
まず、不法投棄とは、ゴミを適正に処理せず、本来捨てるべきではない場所にみだりにゴミを捨てることを指します(廃棄物処理法第16条)。
そして、これに違反した場合は「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(同第25条)の罰則が科されます。
また、不法投棄することを目的として廃棄物を収集または運搬した人に対しても3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科されます(同第26条)。
つまり、コンビニのゴミ箱に私的ゴミを持ち込み捨てる行為は不法投棄ですし、自宅や路上飲み場所から私的ゴミをコンビニまで運ぶ行為は、不法投棄の運搬に該当します。
そのため、悪質な場合には刑事罰まで科されてしまう可能性があるのです。
2-2.営業妨害に該当する(刑法に違反)
コンビニのゴミ箱には「家庭ゴミの持ち込みはご遠慮ください」といった表記がある場合が多いことは先ほどご説明しました。このような場合、営業妨害により業務妨害罪(刑法第233条)が成立し、「3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金」刑に問われる可能性があります。
ゴミの処分や清掃、ゴミ袋の取り換えなど、コンビニ側にはゴミの処分費用に人件費をはじめ様々な費用が発生します。
また、コンビニから出るゴミは事業系一般廃棄物として処理しなければならないため、店舗ごとに回収業者と契約して定期的にゴミを処分しています。
このように、コンビニは費用をかけてゴミを処分しています。家庭ゴミや路上飲みゴミが捨てられてしまうと、コンビニ側はそれらの処理にかかる処分費用や人件費を負担しなければなりません。
本来であれば発生しなかった負担が生じることで、民事上では損害賠償責任も発生します。
とはいえ、インターネット上では「コンビニはそこまでしない」「せいぜいで注意で終わりだ」のような意見が多くあるかと思います。
しかし、あくまで家庭ゴミや路上飲みゴミの持ち込みは犯罪行為であることを、きちんと認識しておくべきでしょう。
防犯カメラなどを確認すれば、誰がいつ私的ゴミを持ち込んだのかはすぐに確認できます。同時に、それらの映像は犯罪行為の非常に強い証拠にもなります。
たとえば、店舗側が長期間、私的ゴミの持ち込みに悩み憤りを抱えていたとします。そこに、たまたまあなたが「このくらい問題ないはず」と、家庭ゴミや路上飲みゴミを持ち込み処分した場合、耐えかねた店舗側が警察に通報してしまうかもしれません。
あなたにとっては「たった一回」「これくらい」であっても、店舗側にとっては「数十回目」「こんなに」であることは覚えておくべきです。
深刻な問題に発展してしまうことを防ぐため、私的なゴミはルールに従って処分しなくてはいけません。私的ゴミの持ち込みをすれば逮捕の可能性がゼロではないということはもちろん、モラル的にも許されない行動であることを理解しましょう。
今回のコラムでは「家庭ゴミや路上飲みゴミをコンビニ等に持ち込んだ場合どのような罪に問われるのか」について説明しました。まとめると次のようになります。
ゴミの収集が待てずに家庭ゴミを持ち込んだり、路上飲みゴミを捨てたりしたい気持ちは理解できますが、店舗側の迷惑や被害を想像できれば、行ってはいけないことがわかるでしょう。
あなたが「つい家庭ゴミを定期的に持ち込んでしまっていた」という場合には、店舗まで謝罪に行くことはもちろん、二度とやらないことようにしましょう。スムーズに謝罪を進め、深刻な事態に発展しないためにも、弁護士に一度ご相談することをご検討ください。
また、あなたがコンビニやスーパーなどの関係者で、家庭ゴミの持ち込みや路上飲みゴミの不法投棄で困っている場合は、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。