「ドローン」の名称で知られる無人航空機。
趣味でドローンの操縦を楽しむだけでなく、映像や写真の空撮、工事現場での測量や点検、農薬の散布、医薬品や食料品の運搬など、様々なビジネスシーンでの利用も広まっています。
また、高齢化や人口減少に伴う人手不足が多くの業種で深刻化するなか、今後もドローンを活用した新たなビジネスの誕生が期待されます。
一方、ドローンによる事故や無許可での飛行といった事案が増加しているにもかかわらず、所有者を特定できず、必要な安全対策を講じることができないなどの課題が指摘されていました。
このような背景を踏まえ、ドローンの所有者の把握や、事故の原因究明、安全確保といった観点から、2020年に航空法が改正され、ドローンの機体登録が義務化されました。
登録の義務化により2022年6月20日以降、登録されていないドローンの飛行が禁止されます。
そこで今回のコラムでは、ドローンの登録制度の概要や登録方法などを解説します。
趣味やビジネスでドローンの利用をお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
登録制度は、2020年の航空法の改正に伴い創設された制度で、ドローンの所有者や使用者を把握できるようにするため、機体に個別の登録記号を割り当てるものです。
2021年12月20日から事前登録の受付がスタートし、2022年6月20日から登録が義務化されます。
義務化の開始以降は登録していないドローンの飛行が禁止となり、飛行させるにはドローンに登録記号を表示し、リモートID機能を搭載しなければなりません。
リモートID機能とは、ドローンの事故発生時や、無許可飛行時などに機体を特定できるよう、機体の識別情報を電波で遠隔発信する機能です。
発信されるのは、製造番号や登録記号のほか、飛行している位置や速度、高度、時刻などの情報で、所有者や使用者の個人情報は含まれません。
なお、次に該当する場合、リモートのID機能の搭載が免除されます。
これまで、「重量が200g未満」のドローンは、航空法の規制対象となる無人航空機に当てはまらないとされていました。
しかし、性能の向上が進んだことで、200g未満でも屋外を安定的に飛行できるドローンが登場し、今後もさらに増加すると見込まれるため、規制対象となる無人航空機の基準が、「重量が100g未満」に変更されました。
つまり、重量100g以上のドローンは航空法の規制対象になり、登録が義務付けられるのです。
また、ドローンの形状として一般的な複数の回転翼を搭載したマルチコプターだけでなく、ヘリコプターやプロペラ機などの形状でも、100g以上であれば登録の対象です。
安全性が確保できないドローンは登録ができません。
登録できないドローンとして、国土交通省は次のような例を挙げています。
ドローンの登録には、大きく3つのステップがあります。
4-1. 登録申請
申請方法には、オンラインか郵送の2種類があります。
オンラインによる申請は、国土交通省の特設サイト「ドローン登録システム」から行います。
氏名や住所、生年月日、電話番号といった所有者や使用者の個人情報、製造者や型式といった機体情報などを登録します。
郵送による申請では、国土交通省の登録手続きに関するサイトから申請書類をダウンロードし、オンライン申請と同様の情報を記入した上で、サイトに記載された提出先の住所に送ります。
いずれの申請方法でも、本人確認書類の提出が必要です。提出する書類は所有者が個人か法人か、申請方法がオンラインか郵送かなどによって異なります。
必要な本人確認書類は国土交通省の「ドローン登録システム」や、登録手続きに関するサイトから確認できます。
4-2. 手数料の納付
申請が完了したら手数料を納付します。
クレジットカードやインターネットバンキング、ATMのいずれかの方法で支払うことができます。
金額は申請方法によって異なります。
また、2機以上のドローンを同時に申請した場合、2機目からは手数料が割り引かれます。
申請方法 | 1機目 | 2機目以降 (1機目と同時申請の場合) |
---|---|---|
マイナンバーカードまたはgBizIDを用いたオンライン申請 | 900円 | 890円/機 |
運転免許証やパスポートなどを用いたオンライン申請 | 1,450円 | 1,050円/機 |
紙媒体による申請 | 2,400円 | 2,000円/機 |
4-3. 登録記号の発行
登録申請や手数料の納付などの手続きがすべて完了すると、登録記号が発行されます。
登録記号はドローンの容易に取り外しができない部分に、外部から確認しやすいよう鮮明に表示させなければなりません。
機体の重さにより、表示させる文字のサイズが定められており、機体が25㎏以上だと文字の高さが25㎜以上、25㎏未満なら3㎜以上でなければなりません。
また、油性マジックやシールなど、耐久性のある方法で表示させる必要があります。
ドローンを使ったビジネスにはまだ多くの可能性が秘められており、活用シーンはますます広がっていくと考えられます。
一方、ドローンに関する法制度はまだ十分に整備されていると言えない状況で、法改正に伴う新制度の創設や制度改正などが今後も続くことが予想されます。
制度に関する最新の情報をキャッチアップできていないと、ドローンを活用した新規事業が、実は違法だったというケースが起きてしまうかもしれません。
そのため、ドローンを活用した事業を適切に実施できるよう、ドローンビジネスに理解のある弁護士のアドバイスを受けることを検討してもよいでしょう。
弁護士法人プロテクトスタンスは、ドローン関連企業の法律顧問もお引き受けするなど、様々な法人・個人事業主さまと顧問契約を締結しており、企業法務の豊富な経験があります。
また、顧問先の事業規模も上場企業からベンチャー・スタートアップ企業までと幅広く、業種もAIからインターネット関連、医療法人など多岐にわたります。
グループ法人に所属する税理士や弁理士などのプロフェッショナルとも連携し、相談者さまの業種業界・事業規模などに応じたワンストップサービスを提供することで、お客さまのビジネスの成長をサポートいたします。
どうぞ、遠慮なくご相談ください。