皆様
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本日は,犯罪(刑事事件)の被害に遭ったとき,どのように警察署や検察庁に届け出れば良いかについて解説させていただきます。
1.被害があったことを申告する
犯罪の被害に遭ったときは,警察署や検察庁に対して被害に遭ったことを申告する必要があります。
被害者が申告する方法としては,被害届の提出と告訴(刑事告訴)を行う方法とがあります。
2.被害届の提出と告訴(刑事告訴)の違いとは
被害届の提出とは,捜査機関に対し,犯罪の事実を申告する届出をいいます。
これに対し,告訴(刑事告訴)とは,捜査機関に対し,犯罪を申告し処罰を求める意思表示をいいます。
両者の違いは,処罰を求める意思表示を含むか否かという点にあります。
捜査機関は,被害届の提出を受けたとしても放っておくことも場合によっては可能であるのに対し,告訴(刑事告訴)は,受理した場合は放っておくことはできず,警察は検察に捜査書類等を送付する義務があり,検察は起訴するかしないかの判断を通知し,場合によっては不起訴の理由を伝える義務もあります。
このように,告訴(刑事告訴)は,処罰を求める意思表示を含むという点,捜査機関に対して義務を課すという点において大きな効果が発生します。
3.告訴(刑事告訴)できる人とは
告訴(刑事告訴)できるのは,被害者本人,被害者が亡くなったときは配偶者,直系尊属,兄弟姉妹,被害者が未成年者の場合は親権者,成年被後見人の場合は後見人などです。
会社(法人)や国,地方公共団体も告訴(刑事告訴)をすることができます。
これに対し,被害者の友人などは,告発(刑事告発)をすることはできますが,告訴(刑事告訴)をすることはできません(ちなみに,告発(刑事告発)は誰でも行うことができます。)。
4.告訴(刑事告訴)はいつまでにすれば良いか
告訴(刑事告訴)は原則として,時効が成立するまでの期間はいつでも行うことができます。
ただし,被害者が告訴(刑事告訴)をしたことを犯罪成立の要件とする親告罪については,犯罪を知った日から6か月以内と告訴(刑事告訴)の期間に制限があるので注意が必要です。
もっとも,一部の性犯罪については,告訴(刑事告訴)をするか否か迷ってもやむを得ないものとして,期間に制限のないものがあります。
5.告訴(刑事告訴)は受理されにくい
告訴(刑事告訴)をした場合,捜査機関はすぐに受理してくれません。
前述のように,告訴(刑事告訴)は捜査機関に大きな義務を生じさせるのに対し,一般的に捜査機関は膨大な事件数を抱えており,すぐに捜査をすることができないためです。
告訴(刑事告訴)をする場合には,事件の日時,場所,犯人,関係者を可能な限り特定して,十分な証拠を付ける必要があります。
また,整理した事実関係,証拠からどのような犯罪が成立するか分析する必要もあります。
その上で,捜査機関と綿密な打合せをして受理してもらえるよう交渉をしなければなりません。
このように,告訴(刑事告訴)を受理してもらうためには,法律的知識と証拠収集のための労力が必要ということになります。
6.不起訴になった場合
告訴(刑事告訴)を受理して捜査をしてもらった場合でも,最終的に不起訴処分となる可能性があります。
このような場合は,検察審査会に対し,審査の申立をすることができます。
場合によっては,裁判所が準起訴手続を行うこともあります。
7.弁護士に依頼を
このように,告訴(刑事告訴)は被害者等であれば行うことができる手続きではありますが,法的知識が必要であったり,なかなか受理してもらえない等,困難が付きまといます。
告訴(刑事告訴)については,弁護士に依頼し,弁護士が代理人として告訴状を作成し,捜査機関に提出した方がスムーズに手続が進みます。
弊事務所では,告訴状の作成を専門的に行っておりますので,告訴(刑事告訴)をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。
参考
告訴(刑事告訴)の費用
着手金 33万円~
報酬金 33万円~ 刑事事件専門サイトもご用意しております。
この法律コラムは
弁護士法人プロテクトスタンスがお届けしています。
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弁護士法人プロテクトスタンス 代表弁護士 五十部 紀英