皆さま、こんにちは。
今冬は暖冬といわれつつも、寒さがしんしんと背骨まで染みるような日々が続いております。お風邪等召されないように、ご自愛ください。
さて、今回は近年の保釈の運用について考えたいと思います。
保釈とは、公訴提起後に、保証金の納付等を条件として、勾留の効力を維持しながらもその執行を停止し、被告人を身体拘束から解放する制度です。被告人には推定無罪が働いており、可能な限り身体拘束から解放することが望ましいため、このような制度が確立されています。
我が国においては、従来から保釈請求が却下されることが多く、「人質司法」などと揶揄されてきました。地裁における保釈率は、昭和40年代には50パーセントを上回っていましたが、その後は低下の一途をたどり、平成15年度には12.6パーセントまで低下しました。しかし、その後は一転して保釈率が上昇し、平成26年度には25.1パーセントにまで上昇しています(司法統計参照)。
この変化の要因は、平成17年11月の改正刑事訴訟法施行で導入された、公判前整理手続によるものと考えられます。
公判前整理手続では、当事者間の争点及び証拠の整理が行われます。被告人は、手続に臨むにあたり、弁護人との間で十分な意思疎通を図る必要があります。しかし、被告人が身体拘束されている刑事施設は時間的、設備上の制約が多く、被告人と弁護人が綿密な打合せを行う場所としては不便です。そのため、裁判所としては、被告人の身体拘束を解き、弁護人との十分な意思疎通を図らせることで、充実した公判前整理手続を実現しようと考えているのでしょう。また、公判前整理手続の進行に応じて争点及び証拠が絞られるため、保釈を判断する際の重要な要素である「罪証隠滅のおそれ」についても、実現可能性が低下します。このような事情も保釈率の上昇につながっていると思われます。
もし、皆さま、あるいはご家族、ご友人が逮捕されてしまった場合、速やかに弁護士に相談し、十分な助言を受けた上で刑事手続に臨むことが肝要かと思われます。
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