~「パートナーシップ証明書」と「同性婚」の違い~
こんにちは。行政書士の清水雄大です。
弊事務所のコラムでも複数回(月13日付、4月24日付)取り上げている、今年4月に施行された「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」についての続報です。
同条例の眼目とされる同性カップルへのパートナーシップ証明書は、その手続を定める規則の制定の遅れから、条例施行後1年以内に発行されることとされていましたが、先月の選挙で渋谷区長に当選した長谷部健区長は、5月27日に開いた就任後初の記者会見の場で、今年の10月末までにパートナーシップ証明書を発行する予定であることを明らかにしました(東京新聞「渋谷区「パートナーシップ証明」 10月末までに発行へ」、ハフィントンポスト日本版「【同性パートナーシップ条例】「証明書の発行は10月を目指す」 長谷部健・渋谷区長が就任会見」ほか)。
また、この条例について、ふぇみん婦人民主新聞2015年5月25日号4面に掲載された竹内絢さんの「渋谷区で「同性婚」!? “多様性”として利用される性的少数者」と題する記事で取材に応じさせていただき、異性間の法律婚や事実婚と、今回の同性パートナーシップ証明で得られる権利利益の相違点に関する後掲の表の監修をしました。
既に、弊事務所でも指摘させていただいておりますが、この表で一目瞭然のとおり、今回のパートナーシップ証明により得られる権利や利益は、異性間の法律婚で保障されているそれには遠く及ばないものです。マスメディアを含め、渋谷区では「同性婚」が認められたなどと表現されることも少なくない今回の条例ですが、そうした表現は形式的にも実質的にも誤りであるといわなければならないでしょう。
とはいえ、同性カップルの法的ステータスに関する公的な制度としては、今回の条例は初の事例ですので、こうした問題点の存在を社会に知らしめたという意義は大きいと思います。今後、渋谷区が条例の改正や運用の改善によってその実効性を向上させること、こうした動きが他の自治体へ波及し、国の法改正に繋がっていくことを期待しており、私や弊事務所も微力ながらそのお手伝いができればと願っております。パートナーシップ証明を得るために必要な契約書の作成や、これに限らず、セクシュアルマイノリティに関するご相談がありましたら、ぜひ弊事務所までご相談ください。