皆さま、こんにちは。
昨今は、日本でも権利者意識の高まりから、お金を取れるだけ取ろうと考えている人も増えてきています。その時に狙われるのは会社です。
たとえば、従業員の権利者意識の高まりから、会社に対して金銭の要求をしてくる労働問題も増えています。今回は、労働問題の中でも、経営者の立場を念頭に置いて、残業代について少し解説をしたいと思います。
そもそも、経営者(使用者)は、原則として1日8時間、週40時間を超えて従業員に労働させてはなりません(労働基
準法32条(法定労働時間))。1日8時間以上、週40時間を超えて従業員に労働してもらうためには、いわゆる三六(サブロク)協定を締結しなければなりません(労働基準法36条)。そのため、この三六協定を締結していなければ、そもそも従業員に1日8時間以上、週40時間を超えて労働してもらうことは法律違反という労働問題になってしまうのです。三六協定を締結した後は、適法に従業員に1日8時間以上、週40時間を超えて労働してもらうことができます。そして、従業員が残業をすれば、経営者は通常の賃金を加えて割増賃金として通常の賃金の25%相当額を支払わなければならないのです(労働基準法37条)。
その後、従業員が残業をしたにもかかわらず、経営者が残業代を支払わなければ、従業員は残業代を請求してくるということになり、労働問題に発展します。労働問題における残業代請求の争点は、従業員が残業をしたと主張する時間が、「労働時間」といえるかどうかです。その判断には、指揮命令があるか、場所的・時間的に拘束されているか、業務と関連しているかなどが考慮されます。
経営者は、残業代請求がされるという労働問題に発展してから争うというのは得策ではありません。ムダな残業をさせないことがベストです。労働問題回避のために有効な対策は、残業を事前許可制にして、その運用をしっかりとすることが考えられます。そうすれば、残業代に関する労働問題が生じる可能性が少なくなり、経営者、従業員ともに安心して仕事ができます。
弊事務所では、経営者の方々に対して労働問題にならないように労務管理のサポートもしております。労働問題、労務管理でお困りでしたら是非ご相談ください。初回相談は30分無料にて承ります。