女優の清水富美加さんが、出家するなどとの理由で、突然、芸能界の引退を発表した件が話題になっています。
芸能人と所属事務所との法律関係は、当事者間で交わされる契約の内容によって決められるので、今回の引退が契約違反か否かについては、契約書の内容を見てみなければ判断のしようがありませんが、少なくとも、世間の風当たりとしては、突然の都合で勝手にやめたという印象が広まっているせいか、あまり芳しい反応を見かけないようです。
しかし、辞めたいのに辞められない、いわば奴隷的な状態に置かれているとすれば、その状態から勇気をもって脱することは称賛されるべきこととも言えそうです。憲法18条には、次のようにきっぱりと宣言されています―――何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。
清水富美加さんの話からは外れて、一般の会社に目を転じてみましょう。現在、有効求人倍率の上昇や人手不足を背景として、会社を辞めたくても辞めさせてくれないと悩んでいる人が増えていると聞きます。
法的には、労働者に《会社を辞める権利》が保証されていると言い得る状況にあります(期間の定めの有無、就業規則上の規定の有効性等の細かな議論はありますが、東京都労働相談情報センターのホームぺージに一般的な法的見解がまとまっています)。
しかし、会社と労働者との力関係や現実にはそう簡単ではないようです(たとえば、NHKの「クローズアップ現代」で特集された「やめさせてくれない~急増する退職トラブル~」など)。ブラック企業におけるパワハラの一現象として、あるいはより進んで奴隷的拘束の一態様として、問題化されるべき事態だと思います。
法的には認められた権利なのに、これを行使できない状況に置かれているとしたら、その行使を助けるのはまさに弁護士の仕事です。弊事務所では労働問題も広く扱っていますので、お気軽にご相談ください。