最近、メディアでLGBTという文字を目にすることが多くなりました。
LGBTとは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字をとったもので、これらを含む性的マイノリティの総称として用いられる用語です。
日本においては、平成15年に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が制定されて以降、 LGBTの権利擁護について進展がほとんどなく、同性婚の法制化などを進める欧米に比べ遅れをとっていました。しかし、ここ数年、再度活発に議論され、動きはじめています。
昨今の日本におけるLGBTの権利に関する動きで大きなものとしては、渋谷区をはじめとして世田谷区、宝塚市など、全国の自治体に広がりはじめた同性カップルのパートナーシップ証明制度や宣誓制度があります(2017年4月現在、全国5都市で制度化)。これは、同性カップルに対して、自治体がパートナー関係を証明等するものであり、必ずしも法的拘束力はないものの、LGBTの理解推進、権利擁護に寄与しています。たとえば渋谷区では、事業者等は、このパートナーシップ証明を受けたカップルについては夫婦と同等の取り扱いをしなければならず、仮にこれに反する場合には、区が是正勧告や事業者名公表をすることができます。
また先日も、新たな動きがありました。大阪市が昨年、市内に住む男性どうしの同性カップルを養育里親(養子縁組を目的としないで、一定期間子どもを養育する里親)に全国で初めて認定していたというのです。これは自治体が、同性カップルの家庭を、子どもを養育するのに相応しい家庭であると公に認めた、実に大きな進歩といえます。
しかし、今後、全国の同性カップルが大阪市の例のように扱われるかというと、そうではありません。たとえば、東京都では、養育里親になるための独自の要件として、配偶者がいることを求めています。そのため、現在同性婚をすることができない同性カップルは、東京都で養育里親になることは極めて難しいのです(なお、国の基準では、養育里親について性的指向に関する制約はない)。この東京都の要件は、今後改廃が望まれます。
報道のなかで大阪市長は「(このようなことが)ニュースにならないのがあるべき社会」と述べました。たしかに、LGBTが特別目立つ存在ではなく、当然そこに存在するものとして、あたりまえに受け入れられる社会になることは望ましいものです。しかし、そのような社会を実現する途上では、当事者は、法制度の不備や解釈の相違など、幾多の問題を越えていかなければなりません。そのようなとき、一番の味方になれるのは、法律の専門家であり、人権擁護を使命とする弁護士です。
弊事務所は、法律が追いついていない現代的な問題に対しても、最善の解決法を目指します。弊事務所のご相談室はすべて個室、専門スタッフも在籍していますので、LGBTの方も安心してご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。