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東京オリンピック開催を2020年に控え、飲食店や公共施設での受動喫煙に対する議論が高まる中、マンションのベランダなどでタバコを吸う「ホタル族」の煙が近隣住宅へ流れる受動喫煙に対し、被害者団体が結成されたことが注目を集めています。
そこで今回は、受動喫煙についてお話ししたいと思います。
受動喫煙に関係する法律としては、健康増進法があります。同法25条によれば、飲食店等多数の者が利用する施設を管理する者は、受動喫煙の防止のため、必要な措置を講ずるように努めなければなりません。
もっとも、この法律の規定が置かれて10年以上経ちますが、「努力義務」の枠組みでは限界があるとして、受動喫煙の規制を強化すべきとの議論が出ているのが現状かと思います。飲食店等での受動喫煙に悩まされている方は依然として多いのではないでしょうか。
受動喫煙の問題は結局のところ、「他人の行為をどこまで許せるか」という問題に言い換えることができるかもしれません。社会において日常生活を送る以上、他人との接触は避けることができないからです。
受動喫煙については、マンション内のベランダでの喫煙について裁判例があります。裁判所は、喫煙をやめるよう原告が申し入れたにもかかわらず被告がベランダで喫煙を継続したことにより原告に精神的損害が生じたとしつつも、「原告においても、近隣のタバコの煙が流入することについて、ある程度は受忍すべき義務があるといえる。」と述べ、慰謝料として5万円を認めました(名古屋地裁平成24年12月13日)。
この裁判例は、マンションの4階と5階の住民同士のトラブルであって、受動喫煙全般に直ちに一般化はできませんが、公害裁判等でもよく使われる「受忍限度」という考え方を使って喫煙者と非喫煙者の間の利益関係の調整を図るものとして参考になります。今後の立法の動向や、受動喫煙の有害性に関する知見の蓄積、社会情勢の変化で、裁判所の判断も変化していくものと思われます。
受動喫煙に限らず、近隣・隣人トラブルに巻き込まれましたら、弊事務所にお問い合わせいただければと思います。初回のご相談は30分無料にて承っております。弁護士が全力でサポートさせていただきます。