3月下旬に、東京・渋谷のスクランブル交差点にベッドを置き、その上で眠る男性の様子を動画で撮影したなどとして、警視庁渋谷署は道交法違反(道路における禁止行為)の疑いで東京都内に住む男性ユーチューバーら20~30代の男女7人を書類送検しました。
「面白い動画を撮りたかった」と、いずれも容疑を認めているとのことです。
最近では職業:ユーチューバーと名乗る人物も増え、昨年の小学生に聞いた、将来なりたい職業ランキングでも上位にランクインしているユーチューバーですが、一部のユーチューバーによる迷惑行為をニュースで目にする機会も増えました。
今回書類送検された渋谷の事件もその一つです。混雑したスクランブル交差点にベッドを置いて動画を撮影するという、一歩間違えれば事故につながりかねない迷惑行為です。
刑事責任を問われたユーチューバーはこの他にも多数存在します。
2017年には福井県で、警察官の前で覚醒剤を装った白い粉をわざと落とし、逃げたユーチューバーの男性を追って捜査員やパトカーまで出動する騒動がありました。
このユーチューバーは偽計業務妨害の罪で逮捕され、罰金40万円の判決が出ています。
2018年には千葉県在住、無職の自称ユーチューバーの男性が、電車で日本を縦断する旅の様子を投稿していましたが、実はこのユーチューバーは、空き巣で盗んだ物をリサイクルショップで売って得たお金で旅をし、動画を投稿していたのです。この男性のチャンネル登録数は少なく、動画による収入はほとんどなかったようで、盗品を売ることによって生計を立てていた可能性があると報道されました。
YouTubeで収入を得るためには、動画が再生されるごとに表示される広告のクリック数や、表示回数を増やすことが重要です。動画再生数を増やすために、どんどん過激なものを求めていった結果が、今回の事件のような違法行為につながる一因となっているようです。
前述の千葉県の自称ユーチューバーのように、動画投稿のために犯罪に手を染めてしまった事件もあり、ユーチューバーのモラル低下が懸念されています。
人々を楽しませるために撮影した動画であろうと、それにより迷惑を被る人や、被害に遭った人が存在した場合、民事上・刑事上の責任に問われます。
動画に限らず、公共の場での撮影では、法律の順守はもちろん、他者のプライバシーに配慮し、安全を確認したうえで行いたいものです。