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朝晩の冷え込みが厳しくなり、冬の訪れを感じる今日この頃。
皆さま、体調など崩されていないでしょうか。
近年、遺言の利用の増加に伴って遺留分をめぐる紛争が増加する傾向にあるようです。
本日は、「遺留分・遺留分減殺請求」についてお話させていただきたいと思います。
遺留分とは、被相続人が有していた相続財産について、その一定割合の承継を一定の法定相続人に保証する制度です。
法律では遺言によって、自分の財産は自分の好きなように処分できると定めています。
例えばご主人が「自分の財産を愛人に全て与える」 という遺言を残して亡くなった場合、遺留分制度がなければ、長年尽くしてきた妻であっても一切遺産を相続することができなくなってしまいます。
このような場合であっても、妻や一定の範囲の法定相続人に一定の割合で遺産の承継を認める制度が遺留分です。
遺留分が認められ、減殺請求をすることができる権利を持っている者を「遺留分権利者」といいます。
では、遺留分減殺請求を行使できる遺留分権利者は誰で、割合はどのくらいになのでしょうか。
遺留分の帰属及びその割合については、民法第1028条に定められています。
【民法第1028条】
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一
まとめると、以下のとおりになります。
配偶者 ・・・法定相続分の2分の1
子ども ・・・法定相続分の2分の1
両親 ・・・法定相続分の2分の1
(法定相続人に配偶者及び子がいない場合には、法定相続分の3分の1)
兄弟姉妹・・・遺留分の権利なし
例えば、相続財産が6,000万円・相続人は配偶者と子どもが2人の場合の遺留分はどうなるのでしょうか?
・配偶者の遺留分
6,000万円×2分の1×2分の1=1,500万円
・子ども一人の遺留分
6,000万円×2分の1×2分の1×2分の1=750万円
配偶者は1,500万円・子ども一人当たり750万円の遺留分が発生する計算になります。
遺留分減殺請求の時効については、民法第1042条に定められています。
【民法第1042条】
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。
遺留分権利者が、相続開始および減殺すべき贈与、または遺贈があったことを知ったときから 1年以内に行使しないと請求できなくなってしまいます。また、贈与等によって遺留分が侵害されていることを知らなくとも、相続開始のときから10年経過すると消滅してしまいます。
もし、夫が財産を全て愛人に渡してしまったら・・・遺留分減殺請求をすることで、法定相続分の一部を取り戻すことができます。
弊事務所では相続事件も多数取り扱っておりますので、お困りの際にはぜひお気軽にご相談ください。