皆さま、いつも法律コラムをご覧頂きありがとうございます。
今回は、ワイドショーなどで頻繁に目にする「不倫」について、ご説明します。
配偶者がいる人が、配偶者以外の人と性的関係を持った場合、不貞行為となります。
夫婦をXとY、不貞相手をZとしてご説明します。
YがZと不貞行為をした場合、YとZは共に、Xに対して損害賠償責任を負うことになります。
損害賠償責任を負わなければいけないのは何故かというと、YとZは、Xの婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害したからです。
この損害賠償責任は、不貞行為をしたYとZの二人が共同で負担するものです。
そのため、たとえば、ZのみがXに対して損害を賠償した場合、原則として、ZはYに対して、Yが負担すべき損害賠償の部分について請求をすることが出来ます。
このZからYに対する請求権は、求償権といいます。
自分だけが損害賠償の全額を支払った場合には、求償権を行使して不貞行為の相手方に対して一定割合の負担を求めることができます。
以上が不貞行為に関する損害賠償責任の説明になります。
次に、損害賠償責任を負うとして、どの程度の金額が妥当なのかという問題があります。
この点に関しては、「ケース研究 322」(編集・野本俊輔、家事事件研究会、平成27年3月6日発行)に掲載されている「離婚訴訟における離婚慰謝料の動向」(神野泰一、以下「神野論文」といいます。)が非常に参考になります。
神野論文では、203件の事件が検討されており、不貞慰謝料が問題となったケースでは、認められた損害賠償額の平均は223万円であったと分析されています。
不貞行為を行った場合の損害賠償額を決めるのは裁判所ですが、高額になるケースと低額で済むケースがあります。神野論文は、それぞれ次のように整理しています。
損害賠償額が高額になるケースでは、
等の事情がある場合が多いとされています。
これらの事情は、全てが揃って損害賠償額が高額になるというわけではなく、いくつか当てはまるものがあれば損害賠償額を高額にしようと判断する材料になるというものです。
損害賠償額が低額で済むケースでは、
等の事情がある場合が多いとされています。
損害賠償額が低額になるケースについても、これらの事情の中でいくつか当てはまるものがあれば、損害賠償額を低額にしようと判断する材料になります。
不貞行為の責任を問われた場合、このような事情を考慮して損害賠償額が決められることになります。
もちろん、そもそも不貞行為をしていないという主張をして争うことも考えられます。
争い方は様々ですが、弊事務所では不貞行為にもとづいて損害賠償請求をする側・される側の両方について、最善の活動をすることが可能です。
お悩みの方は、ぜひ弊事務所にご相談ください。弁護士が全力でサポートさせていただきます。